「元気そうでよかった」

「も〜帰るんだから!」って言いながら、だれもわたしをひとりにしてくれなくてうけた。おじいちゃんたちとZoomをつないで乾杯して、げらげら笑いながら紅白をみた大晦日。言わなきゃいけないことをなかなか言いだせずにここまできてしまって、だからやっぱりすんなりとは言い出せずにどんどん酔っ払って最終的にべろべろになってしまった。そんな姿でへらへら笑いながら報告したら、思っても見ないリアクションでびっくりした。みんな何か安心したようににこにこ笑っていて、なんならなんとなく(なんにも話していないのに)感づいていたのだという。「元気そうでよかった」。家族はすごいなあと思った。べろべろだったのでほとんど覚えてはいないんだけど、わたしがこたつに突っ伏しているとき、わたしが寝たと思ってみんなが話していたことがなんとなく耳に入ってきていて、突っ伏したままたくさん涙が溢れてきたのはしっかり覚えている。あと覚えているのは、天城越えを熱唱したり数年ぶりにみんなでカウコンを見たりしたことくらい……。みーんなやさしい。やさしくしてくれてありがとう。改札で「いろいろありがとう」って言いながらわかれたら、なんとなくまた少し大丈夫になった。ぜんぶやり終えて新しい1月1日を過ごしたからね。こうやって積み重ねていくしかないのだ。冬の風はつめたくて、空気が澄んでいる。いろんな冬を思い出しながら、パンのにおいがする通りを抜けてお家に帰ってきたらちゃんとほっとできた。違和感はもうない。もしひええと目をぎゅっとつぶりたくなっても大丈夫。頭をなでてくれたお守りみたいなときのことを思い出しているよ。

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