自分の手でお飾りもつくれる

商店街の花屋で200円のかっこいい松を見つけた。
どう使おうか考えながら、他の花屋へ移動し次は南天を買う。家に帰ってテーブルに広げてみる。組み合わせては悩み、もさもさと動かし、動かすだけではわからないなとえいやで切ってみる。あああ。するとあれよあれよとうまい具合におさまっていき、自分の手に収まらないぐらいのお飾りが出来上がった。原稿を書くようだなと思った。まずは大胆に書きたい大筋を掴んで、詳細をつめていく。私はそういうひとつひとつを、自分の手でやっていくことがどうしようもなく好きで、これを大切にしていきたいのだと思った。

自分の手で、やってみること。今年はどんな時も、それを一番に大切にした一年だった。いいなと思ったことを、調べて、作例を集めて、なんでいいのかを考えて、取り入れたいところだけを取り入れる。そのために必要なものは、自分の足で探しまわるし、考え尽くす。人任せにせず、自分の手でちゃんとやるということは、選択肢ももっと増えるし、最終的な決断も大変になるけれど、その分、折に触れていろいろなことを思い出せるので二度美味しい。あれで悩んだな、これもよかったな、でもこっちにしたんだよな、だってこうだったもんね、なんて。妥協はしないけれど、ちゃんとその時々で落としどころはつくりだす。めんどうかもしれないことも、ちゃんとやってみることで、何倍もおもしろい。ひとりだったら挫けていたようなこと、山のようにあったけれど、今日ここまでやってこれたのは、ひとりじゃなかったからだなと強く思う。ふたりだったらなんとでもなる。それが今年一番の気づきであり、学びになった。

長い一年だった。いろんな瞬間が思い浮かぶ。弾丸で見たことない雪景色を見に行ったこと、髪を切って花束をもらったこと。ずっと行きたかった熊野古道とぱんだ。数えきれないほどの写真を撮ったこと。大切な人たちに見守られ、拍手に包まれた太宰府天満宮。涙で喉が押しつぶされるような帰り道。途方に暮れた空白の時間。おにぎりを頬張りながら見た新宿御苑の空。大好きなお家に光が差す瞬間。
先日、用事のついでにクリスマスプレゼントを探していたら、いつの間にかずいぶんと時間が経っていた。そのことを「ひとりでうろちょろできるようになりました!」と意気揚々と報告しながら、今になって本当に元気がなかったことを実感する。いつだって、振り返ってみないとわからない。元気になったことがうれしく、きっともっと元気になれる気がしている。

一人きりでの年越しから、一年。わちゃわちゃと食べきれないほどのお菓子を買い込んで、おせちの用意をする。もうひとりではないし、ぱんだのぬいぐるみもいるし、忍者の赤ちゃんたちもいる。自分の手でお飾りもつくれる。
この前、誕生日のお祝いをしてもらいながら、ぜんぶ、ぜんぶ、やってきてよかったと思った。会社を辞めていなかったら、誰かと出会っていなかったら、結婚していなかったら、あの会社を選んでいなかったら、上京していなかったら。すべてのつらいことも、苦しいことも、悔しいことも、後悔も、ぜんぶが報われていくような気がして、涙が出た。大丈夫。きっと来年も大丈夫。ちゃんと大丈夫にするし、明るい一年にする。やってみる一年から、なんかこう、かたちにする一年にしたい。そんな一年に、していこうね。

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