どうでもいいことほどアホらしく
どれだけ頭が腐っているか実感する。
書くことがない、思うことがない、感じることがない。アホみたいな自分への言い訳に、頭がドロドロに腐っているような感覚になる。リハビリ、リハビリ、私の勤め先は、毎月管理部にその月にやった仕事に関するレポートを出さねばならない。多くの人が惰性で書いているだろうレポートに、アホみたいに激アツレポートを提出してやろうと、取材で大阪に向かう新幹線の中ではもくもくと書いた。今回から提出方法が変わったこと、みんながだるそうなこと、そもそも、なぜ書くのか、読んで、どう思ってもらいたいのか。自分が振り返るためというだけなら、勝手に振り返るのみ。それをなぜ提出するのか。
管理部に、私が書いた原稿を読んで「本当に素敵な原稿でした」と言ってくれた人がいた。ちゃんと読んでくれている人がいる。それだったら、ちゃんと届けたい。恥ずかしながら、今日は、それを。
***
取材中にぞわあっと鳥肌が立つことがある。目の前の取材対象者のすごさや、熱量、生の言葉に胸を打たれるのだ。それは初めての取材の時から変わらない。
ライターになって8ヶ月、さまざまな時期があった。次から次に挑戦の機会をもらい、あれよあれよと、必死に試行錯誤しながら取り組んでいた時期、原稿でつまづき、お客さんの本当の要望や自分の軸について模索した時期、そして、ライターとしての自分の役割を少しずつ考えられるようになり、一つ一つの取材や原稿、その他の業務を積み重ねながら一歩ずつ前進している実感を持てるようになってきた今。とある機器メーカーへの取材は、これまでのすべてに意味があったんだと実感する取材だった。
取材で訪れたのは、機器メーカーののグループ会社。従業員の9割近くが障害者雇用である同社は、多くの音楽に携わる人たちから“名機”との呼び声が高いヘッドフォンや、最高品質の技術を兼ね備えたマイクなどを全て手作業で製作している。今回は、上記2製品の担当者への取材だった。一人は、すでに最高品質の製品を作っているにもかかわらず、目を輝かせながら、さらに究極の目標を語ってくれ、また、もう一人は「それほど大それたことではないけれど」と、製品づくりに真摯に向き合い、当たり前のことをコツコツとやっていることを誇らしそうに語ってくれた。その後、実際の現場を見学させてもらうと障害をもつ方々が、障害など関係なく熟練作業者として小さなパーツをはんだ付けしたり、ミクロン単位で誤差なくコイルを巻き続けているなど、その熱量を体感。加えて、そうして組み立てられた製品がアーティストの制作をサポートし、私の元に大好きな音楽が届いているというつながりを感じ、何度も何度も鳥肌が立った。そんな私の様子を見ていた担当者さんに「あなたの心に残った部分をぜひまとめてください」と言っていただいたのもうれしかった。
これまで、少しでも早く一人前のライターになるために「ライターとして」「プロとして」“こうあるべき”ということを無意識に思い込んでいたことに気づかされた。しかし、それは違う。ライターであるからこそ、プロであるからこそ、自分の好奇心や、自分の胸が震えることに敏感でなければならない。自分が震えた原稿でこそ、読者にも届くのだと思う。原稿作成時には「より読者の心に届けるためには」という視点で直属の上司に的確なアドバイスをいただきながら、自分の感動を的確に原稿に落とし込むにはまだまだ力を磨いていく必要が多分にあるとも気づかされた。これからも、貪欲に自分を震わせながら、読者の心に届く原稿を書けるように努力していきたい。
***
どう、あたいの真面目っぷり。え、全然ダメかな…こういうやる気と、「クソが」という気持ちが交互にあらわれるのでアホらしい。あっ本音が。どうでもいいことほどやりたくない。だからとことん、アホらしく。アホらしくどうでもいいことをやることでこそ、意味が生まれる。
0コメント