わたしは、わたしで思っているだけのわたしじゃないんだねって
友達の誕生日がまたやってきた。ふとLINEをしてみて、いろいろは伝わらないなと上京して9年目ではじめて電話をすると、ただの十分くらいなのに友達はずっと笑っていた。笑ってくれたのでよかった。ふたりして同じタイミングで「だってとわ子だって」なんて言い始めるからもっと笑った。そのあとはしんしんがかわいい話。高校の時にも岡田将生の話をしていたのを思い出してゲラゲラ笑った。笑ってくれたのでよかった。笑って話せるようになっていたのでよかった。1年ぶり?かの会話にしては昨日ぶりのような、高校で毎日話していたようなテンションでよかった。「声が聞けていい誕生日だった!グラハム・ベルに感謝!」と言っていてよかった。おんなじ気持ちだった。プリン・ア・ラ・モードを食べにいくか迷っているというので、行きな!いま行ったらおやつの時間でぴったりだよ!と背中を押したらほんとにプリン・ア・ラ・モードを食べに行って、写真を送ってくれてうれしかった。手元にわたしが前にあげたペルシャネコの赤ちゃんがいてかわいかった。あたしたちは年に一度、互いの誕生日に贈り合う手紙に込めすぎていたかもしれないね。こんなにも簡単に気持ちが通じ合えるなんて、思ってもいなかった。
半年遅れの誕生日プレゼントを送ってくれたというので、歩いてポストを覗きに行った。誕生日の友達から誕生日プレゼントが届いて、わたしも誕生日みたいだなって思った。ミートソーススパゲッティのシールに元気になった。きらきらの、氷の赤ちゃんみたいなピアスが入っていてうれしかった。いつもあたしが自分では選ばないようなかたちだけど、「絶対に似合う」と手紙に書いてあってうれしくなる。わたしは、わたしで思っているだけのわたしじゃないんだねって。わたしは、そんなちいさなきらきらでいとも簡単に元気になってしまえるくらいお気楽なのだ。とはいえ、そりゃもう簡単に、心持ち次第でつらくなってしまえるけれど、そのピアスをすぐに耳に通すと帰り道も心強くなった。ずいぶんオレンジの道を歩いたところで、イヤホンからは「Peace」が流れ始めた。“友よ ただ君のための僕で在りたかったんだ 君のように美しく在りたかったんだ” 高校の時からずっと、andymoriはこの曲がすきだよと心の中だけで思った。それぞれの10年以上を過ごしてきたのに、ちゃんとこんなにも近い。それがうれしくて、歩きながら、いてもたってもいられなくなって、道端のフェンスにもたれながらこの文章を書いている。ミツメの「タイム」は、2年前かこの子の誕生日に、これだと思ってすきになった曲だった。いろんなことが大丈夫に思える。いろんなことはなるようになるし、いまだってたくさんの大切なものがあるからね、きっと。
「大人になるまでになくしてきた言葉を わざと言葉にすれば 飛び立てない心に 吹く風捕まえて」
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