正義と微笑

どきり、とした。あんなにきれいに微笑む人をみたことがない。
ただの一瞬だったし、その人にとってはいつもの筋肉の動作なのだろうけれどそれがとっても自然で、とって優しいもので、人ってこうやって。もう一目見たい、と目で追いかけていたけれど、遠目すぎてあの微笑みはもうお目にかかれなかった。正義と微笑。ただの一瞬の出来事でわたしはこんなにも正義と思って疑わないのだから、本当にいつか恐ろしい何かに騙されそうでこわいわね。

たしかに、フードや前髪も絶妙でわたしの心をくすぐる佇まいだったけれど、そんなものはあの微笑みの足元にも及ばない。そんな表面的なものではない。内側から溢れでる何かがめちゃくちゃにわたしをどきり、とさせた。蔦屋の店員さん、授業が同じになった赤い靴下のしらたきさん、あほみたいにいろんな店舗に行ってるバイト戦士、これまでも、おっ、と思ってどきどきしていたことは何度もあるけれど、それらとは全くの異質なものであることをわたしは知っている。もっともっと、侵してはならない、神聖なものなのだ。

一生、ただの一度ももう出会うことができないことがさらにその思いを補強する。すごい、微笑みの威力たるや。あの人はきっと自分の微笑みの破壊力に気づかずに生きているわね。とんでもない武器を人はそれぞれ持っているのかもしれないわね。もしかしたら。

パーフェクトな微笑み。やさしくって、あたたかい。別にただの作り笑いだったかもしれないけれど、この場合、本人の意思なんてどうだっていいのだ。微笑みに見られる、余裕。豊かさ。強さ。ヘイ、気づいてるのかい?伝える手段があればどんなにいいことか!しかしこのまま自分の微笑みの強さに気づかず生きていってほしいとも思う。きっとそれがあなたの微笑みをさらに魅力的にしているんだから。

意味分かんない文章。あほみたいな自分。まとまらない想い。しかし伝えたいあの微笑みの凄さ。
これは、祈りです。神聖なるものへの、神聖な微笑みへの、敬意です。
どきり、とする風景とともに。

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