「暗黙のルールって、あるじゃないですか」
「暗黙のルールって、あるじゃないですか」
きょとん、としてしまった。はっ、暗黙のルールがあったのか、と。ルールならば明示すればいいのに。わたしは暗黙のルールとも知らずに自然とルールを守って行動していたわけれども、なんだかいまだに、きょとん、が抜けない。暗黙のルールがあることが、この人の中では暗黙のルールになっているわけだし、わたしのなかではそれがなかったことが暗黙のルールとなり得ていたのかもしれない。
わたしも、きっとあの人も、世の中の暗黙のルールを知らず知らずに、守り、知らず知らずに、破りながら生きているんだろう。固定概念とも言えるような、固定概念とは違うような、暗黙のルールが、世の中にはたあくさん存在しているのだ。おそろしいぜ。
美しい人って世の中にはいるのだ。それは当然、身なりや持ち物、表情や仕草、言葉や気遣いに現れる。この人、なんてつややかなんだろう。類は友を呼ぶ、という言葉がよく似合う結婚式だった。わたしもこんな人になりたいし、こんな風な友達を呼んでみたい。親族、小中高の友達、趣味の友達、会社の先輩、そしてこれからの伴侶が集うそれはまさに人生そのもので、なんだか素敵な空間だった。わたしと兄は二つ違いが故に、兄と同学年の兄や姉をもつわたしの同級生も多く、なんだか同窓会のような気持ちにもなった。うれしい空間だった。手を繋いだり、一緒にお昼寝をしたり、真夜中まで二人で深夜アニメを見たり、わたしの漫画をこっそり読んでいたり、バンプの「車輪の唄」について解説してくれたり、いつの時代も、結構仲がいい兄妹だ、んん、そうかな?
いろんな曲が流れていたし、「茜色の夕日」のタイミングが素晴らしくってお兄ちゃんの友達とフジファブリックについて熱く語ったのも楽しかった。
家族に受け入れられることの簡単さと、むつかしさの両方を感じた。お母さんのすごさも感じた。いろんなことを感じた。素敵な空間だった。
ひとりでゲームすることが生きがいの兄が、ふたりで「スパイキッズ」を観ることを選択するようになるなんて。人間ってすごいなぁと、あたたかい気持ちになりました。どうか幸せになってほしい。
「もう今の体制では全部ダメだ。全部壊す!」
おおきな声で笑ってしまった。ありすぎる。そしてピンチゲームと名付けられた、最大のわたしの生き方。あの日、四年前の交通事故を境にね。試験に落ちるたびに、就活で落ちるたびに、「わたしの人生どんどんドラマチックになっていくぞ!ふぉう〜!」なんて。思いながらうどんをすすっていたわね。ピンチゲームはいつだって日常をおもしろくしてくれた。
おもしろいものは尊い。だからこそ、自分に素直に、突き進みたいし、突き進んで欲しい。
かなしいかな、かなしいね。
おもしろいものに、貪欲に。
これを、暗黙のルールとします。あ、言ってしまったら暗黙のルールじゃないのか?
なんでもいいけど、ルールにします。
0コメント