「あの日の約束を覚えている あぁ僕だけが止まった気がした」

作っているZINEに、あたしが大好きなバンドについて書いてほしいと言われて、泣きながら書いた。苦しくって八方塞がりで、やりたいことはたくさんあるのに、肝心の一歩を踏み出せない自分にとにかく苛立っていた。東京初期衝動に出会ったのはそんな時だった。仕事をぶん投げて走って向かったライブハウス。プラスチックのカップに注がれたちょっぴりぬるいビール。慣れ親しんでいるはずの場所の久しぶりの空気感に、少し手が震えていたのを覚えている。

でも、実際に原稿を書くとなると全く手が動かず、真っ白なWordの画面を前に途方に暮れていた。自分のことを書かなくなって長くなっていた。そんな時にすがるような気持ちで開いたのが、この投稿画面だった。「再生ボタン」を1曲リピートしながら、ぎゅうと力を込めていく。たくさんの気持ちを思い出そうとする。ライブハウス帰りの高揚感、室外機に座って聴いたこと。一切の感情を無くして電車に揺られながら聴いたこと。思いを巡らすとすぐで、「今書きたかったことが書けた」そんな気持ちがうれしかった。そんな原稿を、いいねと言ってくれる人がいた。いいに決まってんだろって心の中で思ったくらいに、うれしかった。


「再生ボタン 君を待っている 午前0時の踏み切り前に
 あの日の約束を覚えている あぁ僕だけが止まった気がした」

東京初期衝動「再生ボタン」

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