ゆるぎなく、うつろいゆく
ふたつの穴からは光が差し込み、さあっと気持ちがいい風が吹き込んできて、細い糸がくるくるまわってる。鳥とせみと知らない虫と、小さな足音が響く。小さな穴からぽつりぽつりと水滴がわきだしては水溜まりをつくっている。きっと雨が降ったらびしゃびしゃになるんだろう。でもそうして溜まった水も風に吹かれて少しずつ、あるべき方へ。流れるものは流れて、入ってきたものは出ていく。ひとつひとつの出来事に揺れ動いて、同じ瞬間はまたと来ない。このたしかな空間の中で、そんなふうにゆるぎなくうつろいゆく様が、わたしが求めていたこころのあり方そのものだなと思った豊島美術館。
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