You've Got Her In Your Pocket

Eテレの「ミュージックポートレイト」を見ながら、考えごとをしていた。

わたしだったら、どの曲を選ぶんだろう。どの音楽も、その人となりとか人生があふれていてすごいなって思う。そんな風に、わたしだけの音楽っていえるもの、そんなにあるのかなぁ。不安になった。今まで音楽との出会いっていつも周りにいた人が教えてくれたり、その人との関係の中で出会うものがほとんどで、そこに果たして自分の個人的な意思があるのかが自信が持てない。なんでも好きになっちゃうからなのかなぁ。

そんなわたしでも、音楽とともに今までのいろんな個人的な情景を思い浮かべられるのが楽しい。

だからなのかなぁ。個人的なものにしておきたいのに、そうはなっていないから、なんだかハマっていない気持ちになるのかな。それとも、どの曲も、あの時あの場所で、あの気持ちで聴いた、と細かく思い出せてしまうから、ただ選べないだけなのかなぁ。

「何オタクか」って話をしている時、これと同じ感覚になった。

みんな自分が好きなものを好きだ!って主張できるのがすごい。羨ましい。

何か一つ、そんなに入れ込んでいるものがない。今までそういう経験が全くなかったわけではなく、ただ、たくさんのものを見ようとしたり体験しようとしたりした結果、自分に何が残っているのかわからない。何も残っていないのか、それともどれもが残っているから選べないだけなのか。個人的ではないからか。自信がないからか。それともそもそも自分で思う”入れ込む”のハードルが高く、まだまだと思っているからなのか。入れ込める人を見て、つい比べてしまうからなのか。

好きなものは山ほどあるのに、胸をはって言えないことが多い。何を言えばいいかわからない。
すごく不毛だけれど、すこしかなしい。

「You've Got Her In Your Pocket」は一番最初に書かれた曲らしい。

高校生の頃、買った帰り道に待ちきれなくてCDプレイヤーで聴いたことを思い出す。

一番最初から、一番好きな曲。どこかにいってしまいそうなものや感情を必死に自分の中に閉じ込めているような、そんな気持ちになる。いろんなことがシャットアウトされて一人になれる。心地いい眠りにつける。やさしい気持ちになれる。

なんとなく最近考えていたことと、急にこの曲がつながった。
全ての真実はこの曲にあったのか、とすこし一人で笑っている。

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