一言茶化してくれたなら
スーパーのお肉売り場で、わたしのイヤホンの中で「あのウミネコ」が流れ始めてぐっとくるものがあった。そういえばいつだったか、ここで馬鹿みたいに急に涙があふれたことがあったっけ。理由はもう覚えていないけれど、鮮明にその瞬間が蘇ってきたの。
衣替えをしながら、来年の夏を思う。ここにはもう、いないのだ。冷蔵庫の前でなんだかつまらなくなったこととか、あのバンドの新譜と牛乳を買いに部屋を出たこととか、ずうっとandymoriのタオルを部屋に掲げていたこととか、慣れない都会の中の田舎で身を潜めるような心持ちでいたこととか、パピコがどのお店にも見当たらず、探し歩いて成城学園についちゃった初夏とか。この街も、もうすこし。いろんな思い出は大切なまま、そっとおいていきたいな。おうちを探していたらこんな時間になってしまった。
意気込んで借りてきた映画も見ないまま。楽しみのあの本も読めていないまま。日記も書けていないまま。いろんな人を想いながら。洗い立てのシーツにくるまって、おやすみなさい。おきたらホットケーキを焼くって決めているの。いいでしょう。
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