六号館のサボテン

なによ、まだ二十日しか経っていないのよ、という声が聞こえる。住んでいた街に行くのは奇妙な気持ち。エモい?エモいかな?なんて思っていたけどまだまだ月日が満ちていないみたい。そんななかでもいろんな残像が見えて楽しかった。ブックオフやカレー屋さん、ラーメン屋さんに焼肉屋、中華のお店や薬局、大きな橋やスーパーマーケット。いろんな人や、自分の残像が生き続ける。本当にいろんな人と出会った街だった。進んで出会わないような人にも出会った。あの人は卒業できたかしら、あぁ、ここでお財布をなくした、おおっと、ここには陸橋があったんだぜ、一晩中人を探し回ったこともあったし、パピコを探して三千里も歩いた。夜も明けない頃、マックに行って読みすすめたあの本は。ドキドキして通っていた、まだ書籍を扱っていなかった蔦屋。毎晩バイト帰り、零時を回ってもわたしを迎えてくれるスーパーマーケット。バナナやもやしが売り切れだったこと。andymoriを聴きながらの帰り道。どう、月日の割にはちょっぴりエモいかしらね。

六号館にサボテンをみつけた。何年通っても、何年住んでも、いつだってどこにだって。世界はいつでも発見されたがっているのね。

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