「透明な彗星は透明だからなくならない」
「どこにいってもがんばるだろうし、何をしててもたぶん応援してるから」
それがうそでもほんとでも、最後にあたしにかけた呪いでもいい。もうずいぶん時間がたっても、心に深く沈んでいる。BUMP OF CHICKENは聴かないようにしていた。ライブにも行こうって思わないし、誘われても断ってきた。新曲を耳にすると、どうしようもなく胸をえぐられる。わたしのなかでしっかりと鍵をかけて閉じられていた扉が、たかだかサブスク解禁でひらいてしまった。
目をつぶればいろんな夜に飛んでいける。学校から帰る途中に寄り道していた街灯ひとつで照らされている階段とか、星空を見上げて坂を下っていたら垣根に突っ込んで転んだこととか、はじめて一人暮らしをした部屋とか。BUMP OF CHICKENを観たあの夜も、1日のことが頭を駆け巡ってベッドの中でのたうちまわる夜も。
BUMP OF CHICKENは、あたしたちの時代の共通言語。上の世代の人たちが、スーパーカーを愛でる姿がずっと羨ましかった。「なんだよ、チッ」って思うこともあった。スーパーカーだって大好きだけど、きっとあたしが見ていた人たちとは好きが違う。それがBUMP OF CHICKENのそれなんじゃんって思ったし、それがどうしようもなく、誇らしかった。
長い時間の中で交差したいろんな人たちの顔が思い浮かぶ。それをずっと重りに感じていたんだけど、どれだけそれらに守られてきたかっていうことに気づくんだよね。
「透明な彗星は透明だからなくならない」
BUMP OF CHICKEN「ray」
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