「何歳になってもよゆーよ俺ら」
8月最後の日の話。9月から新しい仕事に就く友達と、15時に渋谷で待ち合わせ。コンビニで買った発泡酒がめちゃくちゃにぬるくて爆笑しながらベンチで飲んだ。会っていない半年分の近況はそこそこに、最近聴いている音楽の話、記憶に残っている美術館での体験の話、ラジオの話。居酒屋に移動してうすいハイボールを飲む。奈良漬のポテトサラダと夜に聴くと気持ちいい音楽の話、最近風を感じられるようになった話、生きていくための選択の話。「何歳になってもよゆーよ俺ら」。本屋さんや花屋さんにふらふらと吸い込まれながら歩く奥渋。小雨が降り始めた代々木八幡。友達が歩きながら食べていたカップ麺を一口もらった。「ベストチョイス賞!受賞おめでとうございます」「ありがとうございます」。ローソンでばかでかい氷と缶酎ハイ、いかみりんを買って代々木公園の噴水で音楽を聴く。京都にいる友達とLINE電話をつないで話す、高校時代の話。隣の席だった時の話や担任の先生の話。沖縄でべろべろになった時の話。ずっとスズムシだと思っていた鳴き声が、コオロギのものだと知る。いよいよ充電が尽きて駅に向かって歩き出す。もやもやしていたことをゲラゲラ話したら気持ちが軽くなった。セブンで買った冷え冷えの発泡酒。探していたガチャガチャを見つけて大笑いしながら回す。カニとくじら。記憶はここまで。お酒を飲むとディテールまでは覚えていられないのであんまりよくないなと思う。とはいっても思うだけ。友達は「最後の日に適当なやつとあそぶのいやじゃん」なんて言っていた。そんなふうにして、あたしたちの8月が終わった。
入稿データを書き出している。塗り足しの塗り足しをなんども計算しては調整していたら、昨日の話が一昨日の話になってしまった。だれにも相談せず、意見もされず、ぜんぶひとりで入稿までするのははじめてでドキドキする。大丈夫か? まあ失敗してもいい。あたしの愛してやまない記憶たち。きれいに刷り上がるといいな。
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