「何をいったいどうしてなんだろう」

秋の風が吹く。たしかにまっさらな夏は終わったかも知れないけれど、新しい季節はいつだってまっさらなんだと気づく。

季節の変わり目なので少しだけフジファブリックを聴く。思い出すのは高校の頃の帰り道。何よりも大切にしていたウォークマン。言いたいことを言えなかったこと。眠れない夜。わたしはどんな気持ちで音楽を聴いていたんだっけ。もうあんまり思い出せないけれど、思ってることはたぶんそんなに変わらないような気もする。

東京に出てくる前に出会った音楽はぬかるみの中を行くわたしの足元をかすかに照らしてくれる。あー、あたしはこんなところにいるのねと。そりゃいまより昔の方がまっさらだけど、その理屈ならいまだって未来よりもまっさらなはずだろ。だろ!! ずっとまっさらでいたい。ずっと一人で椅子の上で膝を抱えて大好きな音楽を聴いていたい。こんな言葉ははやくあしたの日記でかき消したいなと思う。うううと呻きながらぶどう色に爪を塗る。


フジファブリック「バウムクーヘン」

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