「あの頃からは遠すぎた季節にいるのなら」

見ている景色と耳に入ってくる音がぴったりとはまる。
そんなマブい瞬間のために、わたしは音楽を聴いているのかも。なんて大げさだけど。

音楽をすすめるときは、その音楽にまつわる体験を話すのがいちばんいい。わたしがなんとなく書いてきたことっていつもそういうことだったかも。たとえば土曜日の朝、寝起きで目に飛び込んできた青空を見て、ふと浮かんだVampire Weekendとか、地元へ帰る時の西鉄で、過ぎ行く田んぼを眺めながら聴くandymoriとか、友達の誕生日にちょうど聴いていたミツメとか。

「あの頃からは遠すぎた季節にいるのなら」

毎年友達の誕生日に小さな贈り物をしている。物忘れもひどいしだらしないこの私がだよ。
それは過去の自分と今の自分をつなぐ大切な儀式。ただのエゴかも。でも、お互いにそういう気持ちでつづけているのがおもしろくって、うれしくって。手紙を書いていると、いろんなことを思い出すし、いろんなことを考える。

例えば、あの頃が地続きでつながっているとは思えないくらい、東京での暮らしが長くなったなあとか。あの頃みたいに、全力で周りの人にぶつかれているかなとか。でもあの頃以上に、自分に正直かも、とか。嘘みたいな未来に今いることとか。

お昼休みに近くのベンチへ散歩をしながら聴いていた。そして、ベンチに腰を下ろして深呼吸をすると、そのときちょうど、風が吹いたんだよね。音を立てて緑の木々が揺れて、この感情が友達のもとに届くんじゃないかって思った。

ただそれなんだけどね。


ミツメ「タイム」

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